rooms×Granstra
オンライン展示会の展望
roomsは「クリエイションで人と社会を豊かにすること」をビジョンに掲げ、2000年より始動した国内外のクリエイターを独自の視点で発信するプラットフォームとして、これまで様々な展示会を行ってきました。今回新たに、場所や時間に制限されない新しいマッチングの仕組みを提供するGranstraと協業したオンライン展示会をスタートいたします。
この協業によってどういった化学反応が起こるのか、株式会社イーストフィールズの代表取締役社長 東野雅晴さんにインタビューを敢行。協業の狙い、今後の展望などをお伺いしました。
東野雅晴
株式会社イーストフィールズ 代表取締役社長
ーまず「オンライン展示会サービス Granstra(グランストラ)」について教えてください
僕らは世界中のこだわりを持ってものづくりをしているブランドさん、そして物の価値に共感してくれるバイヤーさんが、オンラインで効率よくマッチングできるサービスとしてGranstraを運営しています。
オンライン上で、ブランドを魅力的に演出する様々な仕掛けやページのデザインなどはもちろんですが、ブランディングのサポートも行っています。
出展者は対面でのブランド紹介には慣れていても、
オンライン上ではどのようにブランドを演出すべきなのかがわからないケースがほとんどなんです。
そこで、これまで600以上のブランドの出展を通して得たノウハウと
データを活用し、各ブランドをどのように演出すべきなのか、
より良いバイヤーとの出会いを作れるようにブランディングのお手伝いもさせてもらっています。

ーECストアは市民権を得たという印象ですが、なぜオンラインでの展示会に着目したんでしょうか
オンライン展示会の利点はブランドの魅力を効率的にバイヤーに届けられることです。
逆にバイヤーにとっても時間や距離の影響を受けずに、より効率的に自分のお店に合うブランドやアイテムを見つけることができます。
特に、遠方のバイヤーは何度もお店をクローズして来られないですし、
仮に東京へ来たとしても、周れる展示会の数も限りがあります。オンラインならバイヤーは時間や場所に関係なくブランド情報を得られる上に、興味のあるブランドとより繋がりやすくなります。
このストロングポイントはこれからの時代には必要だと思い、オンラインの展示会に着目しました。


ー将来性を感じさせてくれるオンラインですが、
現状はいかがでしょうか?
正直、オンラインの展示会はまだまだ黎明期だと思っています。
小売のECサイトは今でこそ当たり前に浸透していますが、立ち上がり当初はシビアだった。
でも、今では当たり前に浸透しているので、それを考えると僕らもいつかはオンライン上でもバイヤーが仕入れの検討してくれるのがスタンダードになってほしいですね。
ーやはり実物が見れないというのがネックに?
実物が見れないというのはすでに解決してきていると思っています。
商品を触ってもらわないと売れないと、出展者さん側が思うかもしれませんが、実はバイヤーが求めているものって実物を単品で見るのではなく、どういうストーリーやこだわりがあるのかを知りたいんです。
なので、商品を見ながら出展者さんと会話して引き出したいというのが主軸となっているんです。
そういう面でいうと、オンラインでもオフラインのようにフランクに話すことができるので、そういう強みをより押し出していきたいと思っています。
ーそんな邁進中での今回の協業という新たな一手。
まず東野さんはroomsにどのような印象を持っていましたか?
業界内でもただの展示会ではなく、自分たちで発信を行っているなと思っていました。
従来の展示会はただ出展者を集めて、ブースを埋めていくという考え。
ですが、roomsの面白いところは各ブランドさんをどうやってよりよく見せていくかまで踏み込んでいるなと。
その会場全体の演出面は流石だなと感じています。
また、国内だけじゃなく、世界に発信するという目線の広さもGranstraとも共通すると思っています。

ーその協業の中で行っていきたいことを教えてください
roomsは、私たちGranstraのパーパスである “ブランドとバイヤーに最適な出会いを提供し、国や地域の産業を支える” と非常に親和性があり、提携することは大きな意義があると考えています。
今までのroomsの資産として活かすべきところは活かしつつ、ただ未来の展示会のあり方、新しい展示会のあり方そのものを業界にむけて発信していきたい。
具体的には、リアルとデジタルが融合することで生まれるシナジーを最大化させ、出展者にとっても来場者にとっても、心が踊るような出会いの機会をできる限り多く提供したいと考えています。
また、roomsは単なる展示会としてではなく、産業や地域や国の課題解決の力があると感じています。
彼らが抱える “稼ぐ力” に対して、一つの道筋を提案するような場になることを目標としています。
ーオフラインでの可能性もまだあるということでしょうか?
僕らはオンラインのサービスを主軸としてますが、出展者さんとバイヤーが対面で会話ができ、商品に対する反応がもらえる貴重な場所だと思うのでオフラインも非常に重要だと思っています。
roomsさんのオフラインの演出力とGranstraのオンラインのスピード感が上手く融合したら、よりハイブリットな展示会へと進化してくれることを期待しています。

ー話はそれますが、読書が趣味だと伺いました。
最近、読んでいる本ですごく面白いものがあったんです。
資本主義はもう限界きているというありきたりな内容で、
資本主義をSDGsに変えようとしているけど、SDGsは答えにならない。
なぜなら、SDGsのDはディベロップメントで、開発を続けるということ。いまだに人間は経済成長しながら地球環境を守れるという妄想に取り憑かれているのを切に唱えている本だったんです。
哲学者のカール・マルクスの本とかも読んでいるとわかるんですけど、最初は成長路線で謳っていたんですよ。
ただ、これが晩年になるとそれをやめろと変わっている。
成長をやめて、どうやって継続性を維持する方が大事だと論調が変わってきたと説いてる本もあったんです。
だから、僕個人としてもこの世界をもう少し楽しく継続させていくということに貢献したいなと思っています。
ー今回の協業にも繋がるということでしょうか?
日本の人口は今後減っていくと予想されていて、
そうなると消費がどんどん減っていくので、これからは一人一人の幸せの質に注目すべきだと思うんです。
生産者さんってもの作りにこだわっていて、一個一個丁寧に作って思いを伝えていくことを行っている。
そして、その思いに共感してもらった人に長く使ってもらうとか、それによってちょっと幸せになれるとか、そういうことが今後の世の中のためになっていくんじゃないかなと思っています。
ただ、そういう職人気質な人に多いのが発信力が弱かったり、経済的に不利だったりする場合がある。
でも、roomsとGranstraが組むことでその格差をなくすことでき、もっといい社会が作れると願っています。
これは国内だけに限らず、日本のいいものを取り入れたいという海外のバイヤーもいますし、逆に海外のいいものを買い付けたいという国内のバイヤーもいる。
それが自然になるという大きな枠組みを作っていきたいですね。


「全てのブランドと全てのバイヤーに最高の出会いを」をミッションとして国内最大のオンライン展示会サービスGranstra(グランストラ)を運営する株式会社イーストフィールズの代表取締役 東野雅晴
【経歴】
2009年に株式会社博報堂に入社、造業・サービス業・金融業のクライアントのブランディングを支援。2013年からビズリーチにて営業として事業拡大に貢献(表彰経験多数)、新事業HRMOSの立ち上げを担当。2017年に株式会社IROYAで事業責任者として新規SaaS事業を立ち上げ。2018年に株式会社イーストフィールズを設立。
Granstra HP
Photo:Hironobu Nishizawa
Text : Kei Matsuo